今まで漫画を描くときはずっとComicStudio(以下コミスタ)を使ってきたのですが、販売終了してから久しく、またフリーズや原因不明のバグ(縦書きの三点リーダーが横書き表示になる)が起こるようになってきたので、そろそろ最新版に乗り換えようということになりました。
新しいツールへの移行ってすごく面倒なんですよね。今まで行ってきた動作をどのようにして再現できるのか、その手筈を整えるのに大きく時間を割かなければならないので。この感じ方は個人差あるかと思いますが、私は結構腰が重い方です…;
というわけで、CLIP STUDIO(以下クリスタ)を軽く触ってみました。
イラストも漫画も両方描けるなんて。さぞ動作が重たいに違いない。と思い長い間敬遠してたのは内緒です。実際のところはそこまででもなかったです。どうやらアニメも作れるみたいですね。目が回ります。
連載中のイデアルドライブの9話を描き始めるにあたって、いきなりクリスタを導入して描きながらツールに慣れていくのもありかなと思ったのですが、やはり後から見返して冒頭の仕上がりがガタガタにでもなったらイヤだなと思い、習作としての漫画を1ページ描きました。
下書き
枠線を入れて線画を描いたところ
べた塗りを入れたところ
たぶん完成
漫画といえばでパッと浮かんだ光景がこれだったんだ。恐らく多くの人にとって侵すことのできない憧憬の1ページ。
以下、使ってみた感想です。
(コミスタとの比較部分は、コミスタをろくに調べもせずなあなあに使っていたので、だいぶ偏りがあるかもしれません…すみません;)
一番はじめに思ったことが「なんかアイコン多!」でした。アイコンがやたらと並んでいるということはそれだけツールがあるということだと思います。たくさんツールがあるということは、それを飲み込むまでにより長い時間と労力が掛かるであろうということ…。「やっぱコミスタでいいかな」が脳裏にチラついた瞬間でした。
ところがどっこい、順を追って触っていってみると、確かに要所要所で作業が楽になっているのを感じました。あえてピックアップするとしたら集中線とトーン貼りでしょうか。
コミスタは集中線の自由度が低かった覚えがあり、面倒になって手書きで集中線を描いていましたが、クリスタの場合は思い通りの形状の集中線を自動生成することができました。また、コミスタのトーンは一々素材集から選んでから貼り付けていましたが、クリスタの場合は簡単なダイアログの入力だけでトーンが生成されました。吹き出しに関してもそうですが、素材ベースだった部分がところどころ自動生成になったことで表現の自由度が増したように思います。
あとこれはコミスタにもありましたが、パース定規の使い勝手のよさに感銘を受けました。パース定規機能とは、パースの情報を設定することでパースに沿った線を簡単に引くことができる機能です。背景を描くときに用いられます。昔々コミスタでも触ったような気がするのですが、何だかんだで面倒くさくなって使わなくなった覚えがあります。ツールが進化したのか私にとって使うべき時が訪れたのかは定かではありませんが、「こんな便利なことができるのか!デジタルって最高だな!!」と思いました。デジタルでしか漫画描いたことないんですけどね。
地味なところではGペンツールの筆圧による緩急のつき方が私好みのものでした。なぜかは分からないのですが、同じGペンツールでもコミスタよりもきれいに描ける気がします。
とはいえ、世界が変わる!というレベルまで語気を強めるまででもなく、「いろいろ変わったなあ」というのが今の率直な感想です。今はとにかく変化した部分に対応するのに手一杯ですね。恐らくこれに慣れていけば、今までよりも作業効率にしても表現にしても向上していけるのかな、と思います。