ギフトの商品カタログが手元に届く機会があってペラペラと眺めていたのですが、どうやらこれは呪いの書だという事実に思い至るまでにさほど時間は掛かりませんでした。
食べ物から調理器具、日用品までありとあらゆる商品が所狭しと掲載されていました。この本が言うには「この中から1つを無料で差し上げますよ」と。なるほど困った、どれにしよう。
このレトルトカレーは本格的で美味しそうだな。いやこのスライサーがあれば料理の幅が広がるんじゃないか?ああ、このバッグもいいな、いざというとき役に立ちそう。
これがただの商品一覧と違うのは、願えば1つだけ商品を対価なしで手に入れられるということです。全てに入手可能性を見出すと不思議と全てが魅力的に映ります。しかしその他多くの入手可能性を捨てて1つを選び取らなければならない。そうなると一番自分にとって利益の高いものを追求したくなるものです。とはいえ、そもそも迷わずに「これが欲しい」と思うようなものは別の機会に自分から買いに行っていることが多いですから、そこから選び取る対象は「あったらいいけど自分からは買わない」(もしくは冷静に考えたら要らない)ものになりがちではないでしょうか。したがって強烈に惹きつけられることがないので、吟味する作業は長期化しがちです。1人で選ぶならまだいいですが複数人が集まればケンカのもとでもあります。つまりこれはどういうことかというと、多大なる労力をかけてさほど必要ではないものを選び取る作業です。
この本が届いたら最後、あなたは選ばずにはいられない。これが呪いでなくてなんなのか。
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