総括なんて大仰な題をつけてしまいましたが、ちょっとした振り返りをつらつら綴ります。
あっという間に過ぎ去った一年でした。感染症が蔓延し始めた4月から数えてもう9か月になりますが、散歩を除いてまともに出掛けたのが片手で数えられるほどでした。一年のうちのほとんどを家の中で過ごしたことになります。
春~夏頃は制限される苦痛よりも解放された喜びのほうが遥かに勝っていました。苦しい通勤と仕事しかできない生活からの脱却ですね。しかし自粛生活が長引くにつれ、生活の新鮮味が薄れて制限される苦痛がこたえるようになりました。とはいえ今でも、去年までの生活と今年どちらがいいかと訊かれたら何も言えないです。私にとってこれらは弁証法的な構図の中にあります。ジンテーゼを導くのは来年のお仕事ですね…。
あまりにも瞬く間に一年が過ぎ去ったのは、同じ場所で同じように他愛もなく繰り返される(時にループしているような)毎日のせいでしょうか。あまりにも理想的で、しかしとても苦痛が伴うものでした。
それらの日々を振り返ってふと想起したのは、サミュエル・ベケットの戯曲『ゴドーを待ちながら』です。細かいところはうろ覚えですが、登場人物の2人がゴドーという人物を待ちながらしょうもない会話ややり取りを繰り返すようなものだった記憶があります。劇中で最後までゴドーは現れないんですよね。
今の状況はさながら「災禍が去る日を待ちながら」、その日までひたすら繰り返される不条理な戯曲の中にいるのかもしれません。
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