【DQX】魔王アスバル

2020/10/18 22:02

※この記事はDQXバージョン5.0~5.2のストーリーに関するネタバレを含みます。

ドラゴンクエストXオンライン(ver5)より、ゼクレス魔導国の王アスバルです。
ドラクエXを始めて半年ほどになりますが、ようやくバージョンの最前線に近づいてきました。現在ver5.2のおはなしの途中で、最新がver5.3になります。堆積されたコンテンツを自分のペースで楽しむことができてとても嬉しいです。

シナリオに関してはナンバリング作品ということもあり、オンラインゲームにも関わらず強いこだわりが伺えます。ただやはり連作ということもあってか、たまに無理やりと思われる展開などがあり、シナリオを進めるのが苦しくなる時期もありました。個人的に特に辛かったのがver4.5前期のシナリオで、シナリオや主要登場人物に感情移入できずプレイを投げそうになりました。ver4.0のシナリオが非常に面白かっただけに尻すぼみになっていく感じが耐えられなかったのです…。

バージョン5だけは一目見たいというモチベーションのもとバージョン4をクリアしましたが、バージョン5のシナリオは「なんとなくドラクエっぽさを享受できればなんでもいいかな」くらいの期待値まで落ち込んでましたが、まさかDQXでまた感慨深いシナリオを見ることができるとは。と驚きをもって感じられたのが、ver5.2のゼクレス魔導国のシナリオでした。

ちなみにバージョン5.2までのシナリオに関して言えば、治世のあり方を描くというのはドラクエらしくはあまりないものの、個人的には非常に興味深いものであります。現代日本の民主主義とは違った価値観をもつ国が複数出てくるというものですね。バルディスタのような実力主義の国はver4.2の古代オルセコなんかで描かれるかと思いましたが、蓋を開けば王以外は現代的な価値観の国でしたからね。興味深いとはいえ、世界史の領域は浅学と言うべきレベルなので背景知識はあんまりないんですけどね…;
シナリオの運びも今のところ急上昇急降下等はなく安心して楽しめています。

さて、魔王アスバルが治めるゼクレス魔導国のシナリオですが、価値観がわかりやすいバルディスタや役者が揃っているファラザードに比べて一体このママに操られお坊ちゃんが魔王をしてる国はどう料理されるんだと。アスバルが毒親エルガドーラ王太后を精神的に乗り越えるおはなしになることは予想できましたが、他二国に比べてあまり面白くなる気配が感じられませんでしたが、いい意味で大きく裏切られました。

ver5.2の開幕からして、「先の大戦でママ死んじゃったじゃん!アスバルどうやって彼女を乗り越えんのよ!」という感じでしたが、弟によって異形の姿に変えられて生き延びていました。これは現実でも、某国の妃か誰かが夫の浮気相手の女を人とは言えないような状態にしてペットにするといったおぞましい話を聞いたことがあります。その辺りの史実のオマージュなんでしょうか。

これまでのシナリオで、ユシュカやなんかによって机上のレベルで突きつけられてきた「王として何を優先すべきか?」という問いですが、ver5.2のゼクレス魔導国のシナリオ終盤で、憎んできた母親の命か民の命かという形でアスバルに突きつけられることになります。

この場面で自我を取り戻した異形になり果てた母親エルガドーラですが、今はの際にあって変に丸くならなかったのがいい意味で意表を突かれました。これまでのシナリオで、息子アスバルを首輪の呪縛によって支配して「国の生贄」「人形」呼ばわりするなど、誰がどう見てもただのヒールの役に徹してきたわけですが、その振る舞いの説得力をここにきて突如解き放って遡及させ得たように思います。

自身の美しい肉体を取りあげられ、挙句爆弾を仕掛けられたわけですから、正気を保っているほうが無理な状況でした。弟からも、彼女は美貌を取り上げられたら生きていられないだろうといった言及があったと記憶しています。自らが腹を痛めて生み育てた息子が目の前にいれば、解呪するよう命乞いをしたり、はたまた息子に気に入られようとこれまでの振る舞いを詫びたりといった行動が普通なのかなと思います。

ですが彼女は自らの状況を理解しながらも、息子を行き過ぎた言葉で叱責、罵倒してみせたんですね。この振る舞いに関しては、息子に自らを殺めさせようと敢えて演じたという考えもあるようですが、この振る舞いにこそ彼女のどこまでも自国ファーストな生き様が集約されているように思われました。半分は息子への焚き付けですが、ただ演じただけの言葉ではないのかなと。

ただ、同時に母親としてはずるいなと思いました。今まで息子を操り、彼自身に王として考えさせるということをしなかった。母に従えば万事よいとして揺り籠に乗せてあやしていたようなものです。もちろんアスバルには反抗の意がありましたが、それも首輪によって封じ込めていました。それが自らの命がもうないと悟るや否や、王としての自負も何もかもを込めて強烈に息子を突き放したのです。どこまでも不器用な母親だと思います。

それを受け取ったアスバルは、あの短い時間で大変勇気のある決断をしたと思います。この辺りに関しては直後のイルーシャの台詞がうまくまとめていたのかな。ver5.1までは情けない坊ちゃんのように映っていたアスバルが一転、とても凛々しく見えました。個人的には、強いカタルシスを感じると共に、大変シビれるストーリーでした。とてもきれいにまとまっていたように思いました。

どうでもいいですけど、バージョン5はここぞとばかりに魅力的な男性キャラクターが多いですね。男性キャラクターの絵を描いたのは本気で何年ぶりかなといったところです。DQXと出会わなかったらきっとしばらくは描かなかったですね。
バージョン4までは魅力的な女性キャラクターが多かったのでこの流れには驚きです。商業的な視点は少々興醒めかもしれませんが、あまり新出の女性キャラクターが少ないと愛想を尽かす男性ユーザもいそうですが。ver5.2のバルディスタのおはなしも見ましたが、その辺りは女王ヴァレリア氏にいろいろ背負わせすぎなのかなとも思います。(笑)

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